コラム
市場調査レポート作成を成功させる3つの秘訣
効果的なマーケティング戦略を立案するためには、実施した市場調査の結果を正しく解釈し、関係者に伝える「レポート」の質が極めて重要です。 単なる数値の羅列ではなく、データから導き出される「インサイト(洞察)」を的確にレポートに落とし込むことで、スムーズな意思決定や具体的なアクションを引き出すことができます。 本記事では、市場調査レポート作成の目的や基本構成、説得力を高めるための秘訣を解説します。調査結果をうまく活用できずに悩んでいる方や、レポート作成を効率化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
第1章:市場調査レポート作成の目的と重要性

市場調査レポートを作成する作業に取り掛かる前に、まず「なぜレポートを作成するのか」という根本的な目的を再確認する必要があります。目的が曖昧なまま作成されたレポートは、焦点が定まらず、読み手にとって価値の低いものになってしまうからです。
意思決定の根拠を提示する
市場調査レポートの最大の役割は、ビジネス上の意思決定に必要な根拠を提示することです。新商品のコンセプト決定、ターゲット市場の選定、販促施策の評価など、企業活動は常に選択の連続です。担当者の「勘」や「経験」だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいて「なぜその選択をするのか」を論理的に説明するためにレポートは存在します。したがって、レポートには単なる「結果」だけでなく、そこから導き出される「結論」と「推奨アクション」が含まれていなければなりません。
チーム内の認識を統一する
プロジェクトに関わるメンバー間や、部署間で共通の認識を持つためにもレポートは重要です。例えば、「ターゲット顧客は20代女性だ」と考えていても、具体的なライフスタイルや価値観のイメージは人によって異なる場合があります。市場調査レポートによって、顧客の実態を具体的なデータとして可視化することで、「誰に対して、何を、どのように提供すべきか」という認識をチーム全体で統一し、足並みを揃えてプロジェクトを進めることが可能になります。
将来のための資産として蓄積する
作成されたレポートは、その時点での市場環境や顧客意識を記録した貴重な資料となります。将来、類似のプロジェクトを行う際や、過去の施策の効果を振り返る際に、過去のレポートは重要な比較対象となります。また、担当者が変わった際の引き継ぎ資料としても機能します。一過性の報告書として終わらせず、企業の知的資産として蓄積されることを意識して作成する必要があります。
以下の表に、市場調査レポートが果たすべき主な役割とその重要性を整理しました。
【表1:市場調査レポートの役割と重要性】
| 役割 | 具体的な内容 | 重要性 |
| 意思決定支援 | 施策のGo/No-Go判断、方向性の決定 | リスクを低減し、成功確率を高めるために不可欠 |
| 説得材料 | 上司や決裁者への提案、予算獲得 | 客観的なファクトがあることで提案の信頼性が増す |
| 認識統一 | ターゲット像や市場課題の共有 | メンバー間のズレをなくし、プロジェクト進行を円滑にする |
| 効果測定 | 施策実施後の評価、PDCAサイクル | 何が良くて何が悪かったのかを明確にし、改善に繋げる |
| 資産化 | 経年変化の把握、ナレッジの蓄積 | 過去の失敗や成功から学び、長期的な戦略立案に役立つ |
第2章:市場調査の全体手順とレポートの位置づけ

質の高いレポートを作成するためには、調査の企画段階からレポートのアウトプットを意識しておく必要があります。調査が終わってから「何を書こうか」と考えていては遅いのです。ここでは、市場調査の全体的な流れの中で、レポート作成がどのように位置づけられるかを確認します。
STEP 1:調査企画と設計(ここでレポートの質が決まる)
レポート作成の成否は、実はこの「企画・設計」段階で8割方決まってしまいます。どのような課題を解決したいのか(調査目的)、誰に対して調査を行うのか(調査対象)、どのような仮説を検証したいのか(仮説構築)を明確にします。この段階で、最終的なレポートで「どのようなグラフが必要か」「どのような比較軸で分析したいか」というアウトプットイメージ(空のレポート)を作成しておくことが理想的です。仮説に基づいた質問項目を設計しなければ、レポートを書く段階になって「必要なデータがない」という事態に陥ってしまいます。
STEP 2:実査(データ収集)
設計した調査票に基づいて、アンケート配信やインタビューを実施します。ネットリサーチの場合は、回答の回収状況をモニタリングし、目標とするサンプル数や属性のバランスが取れているかを確認します。データの質(回答の信頼性)を確保することも重要です。不適切な回答(矛盾した回答や極端に短い回答時間など)が含まれていると、レポートの分析結果に歪みが生じるため、実査段階での品質管理が求められます。
STEP 3:集計と分析
収集したデータを集計し、分析を行います。まずは全体の結果を見る「単純集計(GT)」を行い、データの概観を掴みます。次に、性別、年代別、利用頻度別などの属性でデータを掛け合わせる「クロス集計」を行い、違いや傾向を探ります。さらに必要に応じて、多変量分析などの高度な統計解析を行うこともあります。このプロセスで重要なのは、単に数字を眺めるのではなく、企画段階で立てた仮説が正しかったのか、あるいは予想外の発見があったのかを検証する視点を持つことです。
STEP 4:レポート作成(分析結果のストーリー化)
集計・分析結果をもとに、実際にレポートを作成します。得られた膨大なデータの中から、意思決定に必要な情報を取捨選択し、読み手に伝わりやすい構成でまとめ上げます。グラフや表を用いて視覚的に表現するだけでなく、そこから読み取れる事実(ファクト)と、分析者の考察(インサイト)、そして具体的な提言(ネクストアクション)を論理的なストーリーとして構成します。
以下の表に、各工程で意識すべきレポート作成への繋がりをまとめました。
【表2:調査プロセスとレポート作成の連携】
| 工程 | レポート作成に向けたアクション | 注意点 |
| 企画・設計 | 最終アウトプットの構成案(目次)を作成する | 何を検証したいのか、目的を明確にする |
| 調査票作成 | 分析に必要な軸(属性、行動履歴など)を質問に盛り込む | 回答負荷を考慮しつつ、必要な情報を網羅する |
| 実査 | 回収データの質を確認し、分析に耐えうるか判断する | サンプル数不足や偏りがないかチェックする |
| 集計・分析 | 仮説検証に必要なクロス集計表を作成する | 有意な差があるか、特異点がないかを見極める |
| レポート化 | データを「情報」に変換し、提言へと昇華させる | 全ての結果を載せるのではなく、重要な点に絞る |
第3章:【実践編】読ませる市場調査レポートの基本構成

いざレポートを書こうとしても、どのような構成にすればよいか迷うことがあります。ビジネス文書として標準的であり、かつ読み手にとって理解しやすい市場調査レポートの基本構成を紹介します。
1. 表紙(タイトル)
レポートの内容が一目でわかるタイトルをつけます。「市場調査報告書」といった単純なものではなく、「20代女性における新スキンケア商品コンセプト受容性調査報告書」のように、調査のテーマと対象が具体的にわかるようにします。作成日や作成者名も必ず記載します。
2. 目次
レポート全体の構成を示します。ページ数が多い場合は、目次があることで読み手が見たい情報に素早くアクセスできます。
3. 調査概要
調査の前提条件を記載します。この情報がないと、データの信頼性を判断できません。
- 調査目的:なぜこの調査を行ったのか
- 調査対象者:誰に聞いたのか(性別、年齢、地域、条件など)
- 調査方法:どのような手法で聞いたのか(ネットリサーチ、CLTなど)
- 調査期間:いつ実施したのか
- 有効回答数:何人から回答を得たのか(サンプル数)
- 調査実施機関:自社で行ったのか、調査会社に委託したのか
4. サマリー(要約・エグゼクティブサマリー)
レポートの中で最も重要なパートです。 経営層や忙しい決裁者は、このサマリーしか読まないこともあります。調査結果のハイライト、結論、そして提言を1〜2ページ程度に簡潔にまとめます。詳細なデータを見なくても、このパートを読むだけで調査の全容と結論が理解できるように作成する必要があります。
5. 詳細な調査結果(グラフ・表と解説)
各質問項目ごとの結果を、グラフや表を用いて詳細に報告します。
- グラフの選択: データの性質に合わせて適切なグラフを選びます。構成比を見るなら円グラフや帯グラフ、数量の比較なら棒グラフ、推移を見るなら折れ線グラフが適しています。
- ファクトの記述: グラフから読み取れる客観的な事実(例:「A案の支持率が60%で最も高い」)を記述します。
- コメント: 属性別の特徴や、他の質問との関連性など、分析的なコメントを加えます。
6. 考察と提言(結論)
調査結果全体を通じて得られた知見(インサイト)と、調査目的に対する答えを記述します。さらに、その結果を踏まえて、企業としてどのようなアクションを取るべきかという提言を行います。ここが、データの集計係で終わるか、戦略的なパートナーになれるかの分かれ目となります。
7. 付録(Appendix)
調査票の原文、自由回答(FA)の全量データ、詳細なクロス集計表など、本文には載せきれなかった詳細資料を添付します。データの詳細を確認したい人が参照できるようにします。
第4章:市場調査レポート作成を成功させる3つの秘訣
基本構成を押さえた上で、さらに一歩進んだ「成功する(=ビジネス成果につながる)」レポートを作成するための3つの秘訣を解説します。
秘訣1:ターゲット(読み手)と目的(ゴール)を徹底的に意識する
レポートを作成する際、常に「誰が読むのか」「読んだ後にどうしてほしいのか」を意識することが不可欠です。
読み手が現場の担当者であれば、施策の改善に直結する細かなデータや具体的なユーザーの声が喜ばれます。一方で、読み手が経営層であれば、細かな数値よりも、市場全体のトレンドや投資判断の可否といった大局的な結論が求められます。読み手の知識レベルや関心事に合わせて、専門用語の使い方や情報の粒度、強調すべきポイントを調整することで、伝わりやすさが格段に向上します。
秘訣2:データを単に羅列せず「ストーリー」を作る
質の低いレポートにありがちなのが、アンケートの問1から問30までの結果を、ただ順番にグラフにして並べただけのものです。これでは読み手は情報の海に溺れてしまい、何が重要なのか理解できません。
成功するレポートは、調査目的というゴールに向かって、データを論理的に構成した「ストーリー」を持っています。例えば、「現状の課題」を示すデータから始まり、その「原因」を探るデータ、そして「解決策」を示唆するデータへと繋げていくような構成です。質問順序にとらわれず、伝えたいメッセージに合わせてグラフの掲載順序を入れ替えたり、関連するデータを並べて配置したりする工夫が必要です。
秘訣3:自社独自のデータ(1st Party Data)を掛け合わせる
これが現代の市場調査において最も差別化できるポイントです。一般的な市場調査レポートは、その時その場のアンケート回答(意識データ)のみで構成されます。しかし、回答者の記憶は曖昧な場合があり、本音と建前が異なることもあります。
そこで、自社が保有する「1st Partyデータ(購買履歴、Web行動ログ、会員属性など)」と、アンケート結果を紐付けて分析することで、レポートの価値は飛躍的に高まります。「『買いたい』と答えた人が、実際に過去にどれくらい購入している優良顧客なのか」といった分析は、外部の調査会社に丸投げするだけの従来型リサーチでは実現できません。事実(行動データ)と意識(アンケートデータ)を組み合わせることで、より立体的で説得力のあるレポートを作成することができます。
第5章:レポート作成を効率化・高度化するツールと依頼先の選び方
市場調査レポートの作成は、手作業で行うと非常に時間がかかります。効率的かつ効果的に作成するためには、適切な手段を選ぶことが重要です。
1. Excel / PowerPoint(自力作成)
最も一般的な方法です。コストはかかりませんが、集計、グラフ作成、スライドへの貼り付けといった作業に膨大な工数がかかります。また、集計ミスが発生するリスクもあり、高度な分析を行うには担当者にスキルが求められます。
2. 調査会社への委託
リサーチのプロに、設計から分析、レポート作成までを一任する方法です。品質の高いレポートが期待できますが、数十万円〜数百万円単位のコストがかかります。また、依頼から納品まで数週間かかることが多く、スピード感を重視する現代のビジネスにおいては、タイムラグが課題となることがあります。さらに、前述した「自社データとの連携」に関しては、個人情報の受け渡しなどのハードルが高く、実現が難しいケースが大半です。
3. セルフ型アンケートツール / マーケティングDXツール
近年主流になりつつあるのが、クラウド上でアンケート作成から配信、集計、レポート化までを行えるツールです。低コストかつスピーディーに実施できるのが特徴です。初期のツールは簡易的なものが多かったですが、最近では高度な分析機能や、自社データとの連携機能を備えた「マーケティングDXツール」とも呼べる高機能なサービスが登場しています。これらを活用することで、内製化によるスピードアップと、データ活用の高度化を両立することが可能になります。
以下の表に、各手法の比較をまとめました。
【表3:レポート作成手法の比較】
| 手法 | コスト | スピード | 分析の自由度 | 自社データ連携 | おすすめのケース |
| Excel/PPT (自力) | 低 | 遅 | 中(スキル依存) | △(手間がかかる) | 予算がなく、時間がある場合 |
| 調査会社 (委託) | 高 | 遅 | 高 | ×(困難) | 予算があり、第三者の視点が必要な場合 |
| DXツール (内製) | 中 | 速 | 高 | ◎(容易) | スピード重視で、自社データを活用したい場合 |
第6章:自社データを活かしたレポート作成なら「スパコロ」
前章で触れた「セルフ型」のメリットを最大化し、かつ「自社データの活用」という秘訣を実現するための強力なツールとして、株式会社モニタスが提供する「スパコロ(Supercolo)」を紹介します。
スパコロは、従来の調査ツールの枠を超え、企業のマーケティングDXを支援するプラットフォームです。市場調査レポート作成において、スパコロを活用することで以下のようなメリットが得られます。
自社会員IDと連携した精緻なレポート作成
スパコロの最大の特徴は、自社のアプリや会員サイトのIDと連携してアンケートを実施できる点です。これにより、アンケートの回答データと、自社が保有する購買履歴や属性データをAPI連携などで統合し、一つのデータベースに格納することが可能です。
レポート作成においては、「アンケートでAと答えた層」が「実際の購買金額が高い層」なのかどうかを検証するなど、ファクトに基づいた説得力の高い分析が容易になります。これは、外部モニターのみを対象とした従来の調査では実現できない、スパコロならではの強みです。
セルフ型ならではのスピード感と管理画面
スパコロはセルフ型のプラットフォームであり、アンケートの作成から配信、集計までを自社の管理画面で完結できます。回答状況は「Overview」や「サイトパフォーマンス」といったダッシュボードでリアルタイムに可視化され、直感的に状況を把握できます。
必要な時にすぐに調査を実施し、その結果を即座に確認・分析できるため、レポート作成までのリードタイムを大幅に短縮できます。「来週の会議までにデータが欲しい」といった急な要望にも対応可能です。
3000万人の外部モニターとの比較調査も可能
自社会員のデータだけでは、「世の中全体と比較してどうなのか」という視点が欠ける場合があります。スパコロでは、自社会員だけでなく、提携する3000万人規模の一般モニターに対しても、同じプラットフォームからアンケートを配信することができます。
これにより、「自社顧客の特徴」と「一般消費者の特徴」を比較したレポートを作成することができ、市場内での自社の立ち位置や、未顧客の開拓ポテンシャルを明らかにすることができます。
クイックな定性調査で「生のコメント」を補強
数字だけのレポートでは味気ない場合、具体的なユーザーの声(定性データ)を加えることで、レポートの説得力が増します。スパコロには「クイック定性調査(明後日できるインタビュー)」という機能があり、アンケートで気になった回答をした対象者を即座に抽出し、オンラインインタビューを実施することができます。定量データのグラフに、インタビューで得られた生のコメントを添えることで、より深みのあるレポートを作成できます。
まとめ
市場調査レポートの作成は、データを価値ある情報に変換し、ビジネスを成功に導くための重要なプロセスです。成功の秘訣は、明確な目的意識を持つこと、論理的なストーリーを構築すること、そして自社独自のデータを掛け合わせて説得力を高めることにあります。
従来の調査手法や手作業でのレポート作成に限界を感じているのであれば、デジタル技術を活用した新しいアプローチを検討する時期に来ています。「スパコロ」のようなツールを活用し、自社の顧客データ(1st Partyデータ)と市場調査データ(意識データ)を融合させることで、より深く、よりスピーディーに、そしてより確実な意思決定を支援するレポートを作成することができるでしょう。
あなたの会社のレポート作成業務を変革し、真に顧客を理解したマーケティング戦略を実現するために、ぜひスパコロの導入を検討してみてください。
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