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解約理由を分析して解約率を下げる|サブスク・会員サービスの打ち手を解説

解約理由を分析して解約率を下げる|サブスク・会員サービスの打ち手を解説

サブスクリプションサービスやアプリ、SaaSを運営していると、解約率(チャーンレート)は毎月の数字として把握できます。しかし、解約率という数値にばかり目が行き、「解約理由」に対する理解が十分でない事業者は少なくありません。

本記事では、解約理由を知ることの重要性を整理したうえで、本音に近い解約理由を集める方法、理由の分類と打ち手の考え方、解約理由データを分析する切り口を解説します。

解約率だけでは不十分?なぜ「解約理由」が重要なのか

解約理由の重要性

多くのSaaSやサブスク事業者にとって、解約率は非常に重要な指標です。しかし、解約率はあくまでも「結果」の指標であることを忘れないようにしましょう。

顧客が求める価値や心地よい体験を届ければ解約率は下がり、その逆であれば解約率は上がります。当たり前のことですが、この順番を取り違え、「解約率」という数字を追いかけることに終始する事業者が多いのも事実です。その結果、「解約しそうなユーザーに引き止めのクーポンを配る」「解約までの導線を改善する」といった、効果が不明瞭な(場合によっては逆効果の)「よくある施策」に落ち着いてしまいます。

本当に顧客の解約を止めたいのであれば、まずは「なぜやめるのか」…つまり、解約理由を知ることが重要になります。理由を知れば、本当に効果的な施策が見えてくるはずです。

その解約理由は本音?解約時アンケートの落とし穴

解約理由を集める手段として、多くの企業が解約時アンケートを取り入れています。ただし、解約時アンケートには次のような限界があります。

  • 建前の回答になりやすい:辞めると決めた相手に本音を伝える動機は小さく、「なんとなく」「使わなくなった」など当たり障りのない選択肢が選ばれやすい
  • 解約時だけでは不十分:どれだけ有益な声が集まっても、その顧客の解約はすでに決まっている。解約時だけでは不十分
  • 用意した選択肢の中でしか答えられない:企業が想定していない理由は、「その他」に埋もれてしまう
  • 残った人や辞めた後の人の声は拾えない:解約手続きの画面で聞く以上、回答するのは手続きをした人だけ

解約時アンケートは、傾向をつかむ記録としては有効です。しかし、本音を知り、解約を防ぐための材料としては不十分だと考えておきましょう。

本音に近い解約理由を知る方法

解約前に聴取する

最も重要なのは、聞くタイミングです。解約前には、利用頻度が落ちる、特定の機能を使わなくなる、プランを下げるなど、たいてい何かしらの予兆があります。「予兆」のタイミングで意見を聴取することで、より本音に近い意見が見えてきます。また、このタイミングで打ち手を講じれば、解約防止できる可能性もあります。

いつ聞くかで集まる声が変わることを示した図。利用開始、予兆(利用減・プランダウン)、解約手続き、解約後という時間軸のうち、予兆の段階では本音が集まり打ち手になるが、解約手続き以降は建前で手遅れになる。予兆の段階で声を聞くことが解約防止につながる

アンケートで傾向を数で把握する

アンケートは、多くの顧客から理由の傾向を数で把握するのに向いています。選択式で主な理由を聞き、自由記述で補う形が基本です。回答を会員IDと紐付けておけば、「どんな属性/利用状況の人が、どんな理由で悩む傾向があるのか」まで分析できます。

インタビューで「なぜ」を深掘りする

アンケートで得た傾向の背景まで深堀するには、インタビューが有効です。
たとえば、「UIが使いにくい」という回答の裏に、どの画面の、どんな項目が、どのように使いづらかったのかを知ることができれば、改善の大きなヒントになります。最近では、人手を使わず多くの顧客に同時にインタビューできる「AIインタビュー」も登場しています。大量の回答の分類や要約も短時間で進められるため、日程調整や書き起こしにかかっていた時間を大きく削減できるでしょう。

自社の顧客以外にも聞く

自社の会員だけに聞いていると、集まるのは「残っている人の声」が中心になります。まだ使っていない人、すでに退会済みの人、競合サービスを利用中の人の考えはわかりません。外部のアンケートモニターに調査し、自社の顧客と比べることで、自社が想定していなかった競合や、市場全体から見た自社の弱みが分かります。

アンケートとインタビューの使い分けを示した図。アンケートは多くの顧客から傾向を把握でき選択式と自由記述で聞く。インタビューは理由を深堀りできるがリソースにより実施数に上限がある。両方のいいとこ取りとして、大量調査と深堀りを両立するAIインタビューを中央に配置

解約理由の分類方法:対応できる理由とできない理由

集めた解約理由は、自社で対応できるかどうかで分類すると、打ち手を考えやすくなります。

解約理由の分類例打ち手の例
商品・サービスへの不満機能が足りない、品質に満足できない機能改善、ロードマップの共有
価格への不満料金が高い、価格に見合う価値を感じない下位プランや年払いの提案、価値の伝え方の見直し
UI/UXへの不満使い方がわからない、操作が面倒画面改善、オンボーディングや使い方の案内
顧客固有の事情経済的な事情、ライフスタイルの変化、会社の体制変更休止プランの用意、再開しやすいしくみ

このような分類によって、対応の優先順位をつけやすくなります。顧客固有の事情については自社でコントロールできませんが、休止プランを用意しておけば、事情が落ち着いたときに戻ってきてもらえる可能性も残せます。解約理由に応じて打ち手を分けることが、全員に同じクーポンを配る「よくある施策」との大きな違いです。

解約理由データを分析する5つの切り口

解約理由は、単純に件数を数えるだけでは施策につながりません。次のような切り口で、ほかのデータと掛け合わせて分析しましょう。

  •  利用期間別:契約から短期間での解約が多いなら、初期の使い方の案内に課題がある可能性があります
  •  プラン・料金別:特定のプランで価格への不満が集中していないかを確認します
  •  解約前の行動別:解約理由ごとに、解約前の利用頻度やよく使っていた機能を比べると、予兆を早く見つける手がかりになります
  •  流入経路・顧客属性別:キャンペーン経由で入った顧客の解約理由は、ほかの顧客と違うことがあります
  •  時系列:施策の前後で理由の割合がどう変わったかを見れば、改善の効果を確かめられます

自由記述の回答は、大量のデータでもAIを使えば比較的短時間で分類できます。分類した結果を選択式の回答と合わせて見ると、選択肢では拾えなかった理由が見つかることもあります。

解約理由の分析精度を高める3つのデータ

解約理由をより深く理解するには、アンケートで収集した回答だけでなく、顧客の利用状況や市場全体の傾向を組み合わせて分析することが有効です。
特に重要なのが、「行動データ」「意識データ」「市場データ」の3つです。

  •  行動データ:顧客がどのようにサービスを利用しているか
    利用頻度、ログイン履歴、機能の利用状況、購買履歴などのデータです。
    例えば、利用頻度が低下している顧客を把握することで、解約につながる可能性のある行動変化を発見できます。ただし、行動データだけでは、なぜ利用頻度が低下したのかまでは分かりません。
  •  意識データ:顧客がなぜそのように行動しているか
    アンケートやインタビューを通じて収集する、不満、期待、満足度、継続利用意向などのデータです。
    例えば、利用頻度が低下している顧客にアンケートを実施することで、「必要な機能がない」「使い方が分からない」「他社サービスへの乗り換えを検討している」など、行動の背景にある理由を把握できます。
  •  市場データ:自社サービスが市場の中でどう評価されているか
    競合サービスの利用状況や評価、他社ユーザーのニーズなど、自社顧客以外から収集するデータです。
    例えば、自社サービスを解約した顧客が競合サービスに求めている価値や、競合ユーザーが重視している機能を調べることで、自社顧客への調査だけでは見つからない改善のヒントを得られます。

3つのデータを組み合わせることで、解約理由の理解が深まる

行動データから「誰が解約しそうなのか」を把握し、意識データから「なぜ解約しそうなのか」を理解する。さらに市場データを組み合わせることで、自社サービスの課題を競合や市場全体との比較から捉えることができます。

行動データ・意識データ・市場データを統合して解約理由を分析する流れを示した図。顧客がどう利用しているかを示す行動データ、なぜそう行動したかを示す意識データ、市場でどう評価されているかを示す市場データの3つを統合することで、解約予兆の発見、解約理由の理解、市場との比較、セグメントごとの傾向の把握につながる

こうした分析を継続的に実施することで、解約理由の把握にとどまらず、改善施策の優先順位づけや効果検証にもつなげられます。

分析結果を改善施策につなげるには

や属性によって、解約理由にどのような違いがあるかを確認することが重要です。
例えば、同じ「サービスに満足できない」という解約理由でも、利用開始から間もない顧客と、長期間利用している顧客では、その背景が異なる可能性があります。
以下は、分析軸ごとに想定される傾向と改善施策の例です。

分析軸分析からわかること改善施策の例
利用期間×解約理由初期解約者に「使い方がわからない」という意見が多いオンボーディングの改善
利用頻度×解約理由低頻度利用者に「価値を感じない」という意見が多い利用促進・価値訴求
プラン×解約理由上位プランに価格不満が集中料金体系・プラン改善
顧客属性×解約理由特定セグメントで機能不足が多いターゲット別機能改善
利用期間別に見た解約理由の構成比を示した積み上げ棒グラフ(架空データ)。3か月未満は「使い方がわからない」が約半数を占め、3〜12か月では「価格への不満」、1年以上では「機能不足」の比率が最も高くなる。利用期間によって主な解約理由が入れ替わることを示している

このように解約理由と顧客データを掛け合わせることで、どの顧客層に、どのような改善施策が必要なのかを具体的に検討できます。
ただし、解約理由の回答だけでは、その背景にある顧客の行動や、競合サービスとの比較による不満までは十分に把握できない場合があります。より深く原因を理解するには、複数のデータを組み合わせた分析が有効です。

小さく始めて、改善を回し続ける

解約理由の分析は、最初から大規模な調査を目指す必要はありません。まずは解約前に特徴的な予兆を見つけ、そのタイミングで意見を聴取するしくみを構築しましょう。

少人数の声でも判断の材料になります。大量のアンケート結果が溜まるのを待って分析するより、最初の数十人の声を参考にすぐに改善するほうが、速く前に進めます。解約理由を聞く、改善する、また聞く。このサイクルが、解約率の低下につながっていきます。

まとめ

本記事のポイントを振り返ります。

  • 解約率はあくまでも指標。解約理由を知ることが改善への近道
  • アンケートやインタビューの組み合わせで、本音に近い解約理由を集められる
  • 解約理由は利用期間や行動データと掛け合わせて分析する
  • 解約理由を分類することで、打ち手の優先順位もつけやすくなる

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